湯灌(ゆかん)の儀とは

man or mortician at funeral mourning先日、台湾の葬儀に対するマイナスイメージを払しょくしようと台湾人留学生が日本の湯灌技術を学び、台湾で普及させることに尽力したいというニュースがありました。湯灌とは、葬儀に際しご遺体を入浴させ、洗浄することです。地域差はあれど、日本では昔から行われており、江戸時代には寺院に湯灌場が常設されていたともいわれています。

葬儀のマイナスイメージとはなんなのか、明確には記載がありませんでしたが、当然、台湾の葬儀でも故人を丁重に扱います。むしろ、台湾の葬儀なんかだと1週間~2週間かけて、故人との別れに時間を多く割くぐらいです。恐らくではありますが、死後の考え方の問題なのかなと思います。日本では、輪廻転生の考え方が強くありますが、台湾の場合は死者はただ土に帰るだけという捉え方をするそうです。そもそも、日本の湯灌の儀は「来世への旅立ちとして現世での悩み、痛み、苦しみを洗い流して頂きたい(引用:http://www.sairei.info/)」という願いがこめられたものです。台湾からの留学生は、恐らく故人の来世を願い丁重に扱う点に感銘したのかもしれませんね。

死に対する概念は、世界中で宗教や文化、時代によっても様々あります。諸説ありますが、人類最古の献花はネアンデルタール人だったともいわれており、私たち人類の死者に対する考え方は、基本「尊厳」であるはずです。台湾の学生が感銘を受けた日本の湯灌はそれを象徴する儀式でもあります。湯灌は日本が世界に誇れるものの一つなのかもしれませんね。

ちなみに、都市伝説的な「死体洗い」ですが、あれは本当に都市伝説です。発端は、大江健三郎の小説『死者の奢り』の中でホルマリン漬けの死体プールでアルバイトする学生の話が出てくることだと言われていますが、それはあくまで医大などにある遺体解剖実習用の遺体のお話です。湯灌とは全く異なるものなので覚えておきましょう。

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